- /
- /
- /
- /
「花かつお」じゃない削り節のお話
削り節というと、すぐに思い浮かぶのは鰹の削り節だと思いますが、だしの世界には鰹以外の魚で作った削り節もあります。
かつお以外の削り節は普通は見かけることのない削り節ですが、スーパーで「混合節」とか「業務だし」という名で売られているものが鰹以外の削り節です。
「混合節」「業務だし」は複数の削り節を混合したもので、入っている削り節は「宗田節」や「さば節」や「ウルメ節」などです。
お店でだしをとるうどん屋さんや居酒屋さんなどプロの皆様は、かつお節よりこれらかつお節以外を混合したものをよく使います。理由はかつお節よりうまみが強く、だしのコクと甘さがあり、値段が安いから。
そんなプロが使う「宗田節」や「さば節」や「ウルメ節」って、どんな節なんでしょう?
削り節の種類
宗田節(そうだぶし)
マルソウダガツオとヒラソウダガツオを原料として
特にマルソウダガツオを西日本では目近(めじか)と呼び、マルソウダガツオで作った節を「メジカ節」とも言います。
宗田節のだしは濃厚で色もはっきり出ます。また時間をかけてだしを取るとうま味を引き出せます。
しかし、宗田節はかつお節や後で紹介するサバ節と混ぜて使われることが多く(混合節)単体で見かけることはほとんどありません。
宗田節は中部や関東方面のうどん、そば屋さんでよく使われています。
さば節
原魚はほとんどゴマサバで、ヒラサバは時期を限定して使われる程度です。
サバは全国で漁獲されていて、特に東北近海物は脂がのっておいしいことが知られていますが、
節に加工する場合 脂があると節に向かないので、脂が少ない九州近海で漁獲されたものが使われます。
だしは甘みがあり、宗田節やむろ節とあわせて味にコクをくわえるのに使われます。
さば節も宗田節と同じく単体で使われることが少なく他の節と混合で使われます。
組み合わせは関東ではさば節と宗田節、またはさば節と宗田節と鰹節、関西ではサバとむろ節とウルメ節の混合が多く使われています。(混合節)
むろ節
原漁はムロアジで熊本県と鹿児島県が産地として知られています。
だしの色はやや黄色く、味はサバ節よりまろやかでさっぱりしていて魚臭も少ないだしです。
むろ節の消費は中部地方で最も多く鰹節以外の節の中心となっています。
特にうどん屋では必ずと言っていいほど使われているむろ節ですが、
関東ではほとんど使われていません。
いわし節
原魚はカタクチイワシ・ウルメイワシ・マイワシなど。
いわし節の消費はほとんどが関西で昆布と合わせるのが一般的で
うどん・味噌汁・煮物のだしとして使われています。
カタクチイワシはだしが黄色く苦みや独特のにおいがありますが、
ウルメイワシはだしに甘みがあってクセも少なく使いやすいだしです。
鮪節(まぐろぶし)
キハダマグロを原料に作ります。
原魚は1.5~3キロくらいの大きさでカツオよりやや小ぶり
まぐろ節は「まぐろ節」と呼ばれることは少なく関東では「めじ節」関西では「しび節」とも呼ばれます。
生産量は節類で最も少ないのですが、血合い抜きは小さなパック入りになった糸削りで見かけることがあります。
まぐろ節のだしは淡泊で上品、鰹節のように香りの主張したりせず控えめなだしなので
薄味の素材を引き立てるだしに向いていて色も薄いのでお吸い物など椀に仕立てるのに向いています。
鮪節は一般的には見かけることがなく和食の高級店に直接納品される削り節です。
使い方は、これらの削り節をブレンドして使います。
通常、これらの節は単体で販売されることはなくてブレンドした状態で販売されます。
それがスーパーなどで販売している「混合節」や「業務用だし」として販売しているものになります。
業務用と書かれているのは花鰹よりローコストで濃厚なだしがとれることから業務用で使われることが多く、ブレンドの割合を工夫することでお店独自の味を作れるようになるからです。
たとえば当店のお得意様は、うどん蕎麦のだしに羅臼昆布に花カツオ・ムロアジ・サバ・ウルメイワシの組み合わせで繁盛しているお店もいらっしゃいます。
こちらのお店でも使っていただいているムロアジ・サバ・ウルメイワシの組み合わせの混合節は煮物専用だし節として販売していますので、おいしいうどんや屋の味をお試しください。
この混合節はもともと家庭料理で煮物を作る時に最適な味になるように、魚臭さを抑えてパンチのあるだしにブレンドしていますのでおうちで使うのにもいいですよ!
花かつお以外の削り節はそれぞれ単体で入手するのは難しかったりしますが、
豊中松前昆布本舗では単体でも販売しています。
ご自分でブレンドするのもいいですし、ブレンドに迷ったら松前昆布本舗のブレンドも試してみてください。
いつかこういった「ブレンドするだしの楽しみかた」も体験してみてくださいね。