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かつおの枯れ節と荒節のだしの違い
鰹節を買おうとスーパーやコンビニで見てみると・・・
- かつおかれぶし削り節(鰹枯れ節削り節)
- かつおぶし削りぶし(鰹節削り節)
- かつおけずりぶし(鰹削り節)
- 花かつお(花鰹)
こんな感じで書いてるのを見ることができます。しかしこれだけじゃ「なんのこっちゃ」です。
ここではその違いをお話します。
削ってる「節」に違いがあります
かつお節には「荒節(写真左)」と、「枯れ節(写真右)」があります。
左の黒いかつお節(荒節)は、かつおを燻して作ったかつお節です。表面が黒いのは燻したときに付いたタールです。この荒節はキレイな方で、通常はもっとタールで真っ黒です。
右の「枯れ節」は、荒節を作ってからカビを付けてさらに乾燥軸製を進めたかつお節です。色が茶色いのは表面に付いたカビが見えるからです。
かつおかれぶし削り節などの表記は、どちらのかつお節を削って作ったかを表します。
「かつおかれぶし削り節」「かつおぶし削りぶし」はカビ付けをした枯れ節を削った削り節であることを表します。
「かつお削りぶし」はカビを付けていない荒節を削った削り節だということを表します。
「花かつお」は原料を示すのではなく商品の俗称で、薄く削ったかつお節が花びらのようであることから付けられた名前です。花かつおも原料は「荒節」です。この名称のはじまりは関西のかつお節販売店が付けたと聞いていますが、裏付けはとれていませんので噂話のレベルです。
荒節と枯れ節の作り方の違い
先ほど荒節と枯れ節の違いを短く簡潔に説明するしましたが、もう少し詳しく説明します。
荒節は鰹を3枚におろした半身もしくは半身をさらに背中側と腹側に分けた身を一度煮て、煙で燻して乾燥させて作ったかつお節です。枯れ節は荒節を作る時に付いたタールを落として、形を整えカビを付けることで発酵熟成と乾燥を進めたかつお節で、カビの作用で脂肪分が少なくなること、香りから魚くささがなくなること、カビの発酵で酸味渋みが少なくなり、アミノ酸が分解されてうまみ成分が増えるなという効果が生まれます。
荒節・枯れ節の作り方は、にんべんさんのホームページで詳しく書いています。(だしソムリエ協賛企業で、実際にかつお節を作るメーカーさんです)
荒節と枯れ節のだしは違うの?
かつお節の製造工程でカビを付けたか付けていないかの違いで、だしの味にどのような影響があるのでしょう。
魚臭さのない香り、渋みが少なくなってうまみが増えることで、だしの味にどのような違いが出るのか、まただしの取り方は荒節も枯れ節も同じで良いのか。
だしを知りたい方はこの違いが気になると思うので比べてみました。
かつおかれぶし削り節10g と 花かつお(かつお削りぶし)10g を
それぞれ500mlのお湯にからだしをとりました。
色の違い
左が枯れ節(カビ付けをした削り節)、右が荒節(カビ付けしていない削り節)です。色は右の荒節の方が濃い琥珀色をしています。鰹枯れ節削り節は薄い金色という感じの色です。
香りの違い
色だけでなく香りも花かつおの方が強く出ています。かつおの香りの奥に少し香ばしい感じもあります。
枯れ節は、荒節にあったツンとくるところがなくなりました。燻煙臭も感じません。かつおの香りが柔らかくなっています。これはかつお節の製造工程で燻したときに付いたタールを落とし、その後に付けたカビによる効果を感じます。
味、うまみの違い
味も荒節の方がパンチがあります。荒節は香りの強さと魚っぽさが残っているので口にしたときにインパクトを感じます。酸味と渋みも少し感じます。口の中からかつおの風味が消えていくのは早いです。口にしたときのインパクトが強くスッと消えていく感じです。
枯れ節は味に尖っている感じがなくて、魚臭くなくスッキリしていて最後にぽわーっとしたうまみが残ります。
口の中で風味が消えていくまでに時間がかかるのも枯れ節のだしの特徴であり、うまみの多さを感じるところです。
風味の違いをまとめると
カビを付けていない荒節は、味も香りもパンチがありますが、口からかつお風味が消えていくのが早いです。
カビを付けた枯れ節は、味も香りが丸く柔らかい感じで、口の中で余韻(うまみ)を長く感じられます。
荒節と枯れ節のっだしの取り方の違い
荒節のだしの取り方
荒節の特徴は、
・こうばしさのある香りが良い
・口に含んですぐ感じる味のインパクトが強い
・だしに酸味渋みが出やすい
・うまみは枯れ節より薄い
こういった点を考慮して、荒節ではだしを短い時間でサッと取るのが良いです。
逆に、時間をかけて煮出すと香りは揮発してうまみが濃く出てきます。やや渋みや酸味もありますが、昆布や煮干しのだしと合わせて煮物にも使えるようなだしが作れます。
枯れ節のだしの取り方
枯れ節の特徴は
・荒節より豊かなうまみ
・スッキリした香りと味
・酸味渋みも抑えられている
荒節と同じような取り方をするとうまみを出し切れなく、煮出しても酸味渋みが出にくいので少し時間をかけて取ります。最後に軽く絞るのも枯れ節ならではです。
使い分け
かつおだしだけ、特に荒節のかつおだしだけだと、香りは良いのですがうまみが薄くなります。昆布だしのうまみと合わせて、うまみと香り両方を備えたかつおと昆布の一番だしで使うと良いでしょう。そうすると、お吸い物や茶碗蒸しなどの薄味の料理が向きます。
だしのとり方をかえて、しっかり煮出して煮物やおかず料理や味噌汁などにも使えます。
このように荒節は、だしのとり方で万能的に使えます。
枯れ節も昆布だしと合わせて香りとうまみを楽しむのがよいです。荒節とは違う上品さで、まるで料亭の吸い物のような香りや味に仕上がります。
煮出して煮物にしても美味しいですが、少しもったいない気もします。せっかくの良い香りなので香りを楽しむ料理で使うのが良いです。