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料理をだしから作る時に失敗しないために
こんな経験していませんか
このページをご覧の方は、顆粒だしやだしパックを使わずにだしから料理を作りたい、でも、作り方が分からない。又は作ってみたけど美味しくできなかった。という方が多いと思います。
作ろうとしたのはお吸い物でしょうか?それともお味噌汁でしょうか?
この二つの料理で使うだしは、同じだしではおいしくならないのです。お吸い物にはお吸い物用のだし、お味噌汁にはお味噌汁にあうだしがあります。
だしから手作りしたのに味が薄くておいしくできなかったという場合、お吸い物用のだしでお味噌汁を作っていたようなことが考えられます。
だしは作る料理、仕上げたい味にあわせて、素材と作り方を変えます。
これを意識せずに料理を作ると、お吸い物用の上品なおだしでお味噌汁や濃厚なおでんを作ろうとして「一番だしから作ったのにだしが効いてないおでんになった。」こんなことになります。
では、どうやって素材を選んで作り方を変えていくかを解説させていただきます。
どんなだしがあるか知りましょう
和食ので使うだし素材は主に昆布、削り節、煮干し、乾しいたけの4つです。
しかし削り節には、かつお節の他にアジ節、サバ節など種類がたくさんあります。そこで、かつお節とかつお以外の魚の削り節に分けて「昆布だし」「かつおの削り節だし」「かつお以外の削り節だし」「煮干しだし」「椎茸だし」の5種類とします。
だし素材別だしの特徴
- 適した料理:上品なものから濃厚なものまでオールマイティに使えます。
- だしの特徴:昆布だし単体ではクセがなく主張のないだしで味全体の底支えをします。昆布だしのうまみは口の中でスッと消えず、長い時間余韻を感じられます。音楽でいうとベース楽器のような存在です。だしにクセがないのでどんな料理にも使えて、昆布だしを使うと味に深みが出ます。
- うまみの種類:グルタミン酸
- 適した料理:お吸い物や茶碗蒸しなど、上品で薄味の料理に向きます。
- だしの特徴:香りの強さと魚特有のうまみが特徴。香りの強さと香りが口の中で消えていく感じを楽しめるような、だしそのものを楽しむ料理に向いています。
- うまみの種類:イノシン酸
- 適した料理:煮物料理全般
- だしの特徴:アジ・サバ・宗田カツオ・ウルメイワシなどかつお以外の削り節だしは、かつお節と同様に魚特有のうまみのあるだしですが、香は若干弱くなり、甘みとうまみの強いだしになります。魚によって雑味が強いものもあり、だしそのものを楽しむよりだしを具材に染み込ませて、具材の美味しさを引き出す料理に向いています。魚のブレンド割合によってだしに個性ができます。
- うまみの種類:イノシン酸
- 適した料理:味の濃い料理と相性が良い
- だしの特徴:やや魚臭さの強いパンチのあるだしです。味が濃い目だったりクセの強い食材に合わせるとおいしく仕上がります。個人的に味噌汁には昆布と煮干しの組み合わせが一番おいしいと思います。
- うまみの種類:イノシン酸
- 適した料理:オールマイティ
- だしの特徴:香りもうまみも強めでとても主張が激しいだしです。単体では主張が強すぎてとても使いづらいだしですが、いろんな料理に椎茸だしをほんの少し加えるだけで味の深みがグンと増しておいしくなります。言われないとわからないくらいの量が理想的です。
- うまみの種類:グアニル酸
この5つのだしを組み合わせて、家庭料理から本格的な和食のだしまで作ります。
5つのだしの中で昆布と椎茸は料理全般に使えますので、この二つについてはその特徴はあまり気にしないですべての料理に使うくらいの感じでとにかく使ってみてください。
気にしたいのは「かつおの削り節だし」「かつお以外の削り節だし」「煮干しだし」です。
この三つのだしの違いを気にするだけで、おおざっぱにですが、だしを料理にあわせる方法が見えてくると思います。
かつおだし、かつお以外の削り節のだし、煮干だしで、だしの強さや繊細さを整える
かつおだしはここを覚える
かつおだしは香りが命です。うまみは他よりやや薄くなります。味は繊細で上品です。
うまみ、パンチに劣るので濃厚な味付けには合いません。薄味の料理に香りを加えることで上品さ繊細さを表現します。
煮干だしはここを覚える
煮干だしは最も甘く深いコクがありますが、魚っぽさも出てきます。
魚臭さも強いため人によっては嫌われることもありますが、甘く濃厚なだしは味の濃い料理でもだしが負けることがありません。
かつお以外の削り節だしはここを覚える
かつお以外の削り節だしは香りもありながら、甘みとコクに優れます。
香りのよさ、上品さ繊細さはかつおだしより落ちます。かつお節にはない甘い香りとコク、うまみの強さがあります。それでいて、煮干しのような魚臭さは抑えられます。
かつお節が得意な香りと上品さ、煮干しが得意な甘さと濃厚さ、その真ん中のだしがかつお以外の削り節だしです。
かつおと昆布のだしで味が決まらない時にかつお以外の削り節を使うと味が決まる事がよくあります。かつお以外の削り節だしは特に関西でよく使われます。
かつおだし、かつお以外のだし、煮干しだしを単体で使ったり組み合わせて使うことで、香りを生かした上品なだしからコクとパンチのある濃厚なだしまで作ることができるようになります。
これに昆布だしを組み合わせてだしを作ります。
あと、ここで覚えておいてほしいのは、この三つのだしは全部魚系のイノシン酸のうまみだということです。
だしの組み合わせを考える時たったこれだけで8倍おいしくなります
だしの組み合わせを考えるとき、かつお節や煮干しなどイノシン酸のだしにグルタミン酸の昆布だしを合わせると、うまみの相乗効果で8倍おいしくなります。
詳しくはこちらのリンク先をご覧ください。
基本的なだし素材の組み合わせの例
お吸い物のように、薄味で香りを楽しむような料理ならかつお節のだし、それにコクと深みを加える昆布だしと合わせます。
旬の野菜を使った料理なら、素材の味を引き立てるため香りは控えめでうまみの強いかつお以外の削り節だしを、昆布だしと合わせて。
お味噌汁など味が濃いめの汁物などは煮干だしと昆布だしの組み合わせや、かつお以外の削り節だしと昆布と煮干だしの混合してみるなど
こんな感じで香りを出すのか控えるのか、うまみやコクは強めか弱めかでだしを組み合わせていきます。この組み合わせで作っただしのレシピはこちらです。
昆布 と 本枯れ節 でつくる上品で雑味のないお吸い物や茶碗蒸しに最適な一番だし
昆布 と 煮干し でつくるお味噌汁がグンとおいしくなる一番だし
昆布 と かつお以外の削り節 でつくる家庭の煮物炊き物料理に最適な一番だし
さきほど「おでん」の例を出したので、おでんのだしの場合だと具材に負けない強いだしが必要です。煮物用の削り節に甘みとコクがあるウルメ削りを1対1くらいで加えて煮物より強いコクを作ります。ウルメ削りがない場合は煮干しだしで代用できます。
これらのだしにほんの少し椎茸のだしを加えると、味に深みが増しておいしくなります。
ほかにも、かつお節なら荒節と本枯れ節、うす削りと厚削りのように原料や姿形が変わるだけでもだしが変わるので、慣れてきたらそこも考えるとだしがもっと複雑で奥深いものになります。(違いは素材別のだしの話で詳しく説明しています)
こんな感じで、だし素材を組み合わせてお吸い物から煮物炊き物からおでんとなどあらゆる料理に合うだしが作ることができます。
このだしの基本を知って料理にあっただしをつくれば、できあがってくる料理の味は必ずおいしくなります。
話をひっくり返すかもしれませんが・・・
だしの組み合わせは、なにをどんな風に組み合わせても、間違いではありません。
さっき、おでんだしは混合削りとウルメ節と書きましたが、かつおと昆布の一番だしでおでんをつくってもいいんです。それは上品で香りを楽しむ新しいおでんの形で、おいしいと喜んでくれる人がいれば成立します。
お味噌汁なら煮干だしだけのお家もあり、昆布と煮干の家庭もあり、昆布とかつお節のお家もあります。それらのだしの組み合わせは全部正解で、それがお家の味であり、母の作るお味噌汁の味です。受け継ぎたいおいしい大切な味なんです。
「こうやったらダメなんじゃないか」と考えるより。「こうやったらどうなるの」と試してみて、自分がおいしいって思ったら、そのだしのとり方は正解で、お家の味、母の味の完成です。
ちゃんとしただし素材を使ってとっただしなら、どんなとり方や組み合わせでも体に悪い影響を及ぼすことはほぼ考えられません。失敗を恐れずにいろんなだしを試してみてほしいと思います。
煮物用混合節やウルメ削りは手に入らないんですよね。
花かつおはスーパーでもコンビニでも手に入りますが、煮物用の混合節やサバ節、アジ節、宗田かつお節やウルメ節などはプロ専用となっていて手に入りにくいんですよね。本当ならかつお節よりそれ以外のほうが家庭でも使いやすいのにといつも思います。
豊中松前昆布本舗ならプロが使う削り節を家庭用サイズ(100g)で販売しています。長期保存もできる窒素ガスパッケージなのでまとめ買いしても大丈夫です。
まとめ
だしには種類があり、それぞれ特徴があることをお話させていただきました。
だしソムリエの講師をしていて、受講生の方から「ちゃんとだしをとってもおいしくできませんでした。」という声をよく聞くのですが、それは作っただしが料理に合ってなかったかもしれません。
だし素材とその特徴を覚えて、作りたい料理に合っただし素材を選び、料理にマッチしただしを使って自分流のおいしく料理を作ってください。