昆布だし
黒くて肉厚だけで判断できない昆布選び
よく「良い昆布って肉厚で黒いのを選ぶといいんですよね」って言われますが、これは間違いです。
昆布の色は褐色か濃い緑で、黒ではありません。また種類によって濃い褐色の昆布や淡い褐色もあり、色だけで判断することはできません。
ちなみに、だし用昆布4種の色は
- 利尻昆布は黒褐色(濃い褐色)
- 真昆布はやや緑がかった黒
- 日高昆布は濃い緑に黒味を帯びた感じ
- 羅臼昆布は赤褐色と黒褐色があります。
そして肉厚が良いと言われることも、厚さだけで選ぶと品質の低いものを選んでしまうことになります。コレについては後で詳しく説明しますね。
天然羅臼傷昆布の場合どんな昆布が良い昆布なのか
昆布の厚みはやや薄め
天然羅臼傷昆布の場合「やや薄くて、幅が広くて、表面がつや消しの飴色で白い粉が少ない物」になります。
その理由は、天然の羅臼昆布は7月半ばから8月末頃までの収穫時期の中で早い時期に収穫した昆布を「走り」そうでないものを「後取れ」という形で区別されています。※注1
昆布の成長が一気に進む夏の早い時期に収穫された昆布はやや薄めで上品な味わいのあるダシが取れます。逆に夏の後半に収穫された昆布は肉厚になりますが、急激に大きく成長した分味が大味になると言われています。
当然値段も昆布が薄い「走り」の方が高く、昆布が厚い「後どれ」は安くなります。
しかし、天然羅臼昆布の中でも「傷」の等級については「走り・後取れ」の基準がありません。そのため昆布をダシ向きとして昆布を選別する際に「走り」の時期に収穫された、薄めの昆布を選んでいます。
薄くても幅がある昆布
また昆布は薄くても幅や長さが小さい物は成長が良くない、つまり発育環境の良くないところで育った昆布になりますので、薄くても幅も大きな昆布の方が良い昆布になります。
昆布表面の艶と粉
昆布の表面のつやと白い粉についてですが、「後取れ」昆布の特徴に昆布表面にてかるような艶が出やすくなります。
「走り」の薄い昆布はややつや消しのような仕上がりが多いです。
昆布の幅が大きくても表面に艶があってゴツゴツした物はやや大味の「後取れ」になります。薄くて幅があって表面がつや消しのものが良い昆布になります。
また表面の白い粉はマンニットと言ってうまみ成分の一つなんですが、この白い粉は本来昆布の中に入ってないといけないもので、昆布の表面に出てしまうのはよくないと考えております。
たまに「昆布が白いのはうまみがいっぱいある証拠だよ」という人がいますが、そのうまみが昆布から出てしまってはダシにならないと思います。天然羅臼昆布の表面はつや消しで白い粉が少ないものが良いダシが出ます。
以上の基準でお届けさせていただく昆布を選んでおります。どうぞよろしくお願い致します。
※注1(平成23年以降は「走り・後取れ」の呼び名が変わりました)
2014年9月26日